多摩:旬を守り、自然の味を守る生産者の思い。
『実りの秋』本番を前に残暑厳しい中にも、秋風の爽やかさを少しずつ感じる晩夏から文月の季節、旬を代表するフルーツは、一年で最も少ない時です。
旬とは、その産物自体が自然の気候風土の中で最も入手しやすい時期で、概して最も栄養価が高まるとき。言い替えると新鮮でそれぞれの産物の特徴が最も良く現れる美味しい季節です。昨今の農業技術の目覚しい進歩で、果物の旬は日本各地の篤農家で長年栽培、出荷をされてきた旬とは異なった季節でも出荷されるようになりました。原因は生産者が丹精込めて作り上げた果物をより活用いただける時期に出荷したいという、ご利用者のご用途を重視した“果物の新たな旬の創造”。これもまた、果物に対する生産者の浪漫です。
果物の出荷時期を変える手法は、ゆっくりと四季が流れる日本列島の各地に適した品種改良を始め、自然状態からの隔離により物理的に環境を変える(加温ハウス栽培)や科学的にホルモン剤を添付する方法が知られています。
梨の特徴は、食して甘くてさわやかなこと。残暑厳しい季節には非常に体が求めたくなる果実。スイカの次のに来る季節のフルーツは、梨以外にはイメージできないほど古くより日本人に愛される果物です。
多摩:初秋とっびっきりの旬を味わう。
旬のフルーツ、変化に富んだ気候が育んだ自然の味から学ぶことは多くあります。
私たちが天然の産物から吸収するものは貴重な栄養素と、味・食感などの個性豊かな食味に刺激されて、成長とともに養われていく日本人としての感性。本来の旬を追及するのも又、大きな創造と浪漫の追求に他なりません。
そこでこの季節、本来の旬にこだわった高知のいちおしフルーツは『多摩』。お盆の時期の梨といえば『幸水』梨が有名ですが、中にはホルモン剤を投与して出荷を早めているものもあると聞きます。その為本来の旬の梨と比較すると、果汁は同じくらい多いのですが味が薄く感じます。
『多摩』は早生種の梨。この季節高知では、自然の中で木なり熟成できる、幸水の血統を引く改良種です。梨の特徴でもある多汁でジューシな味わいは、暑い季節にはぴったりの清涼感ある和のフルーツ。夏の名残が、余韻となって口に広がる上品な旬の梨です。
多汁でさっぱりとした感じが先行する多摩ですが、糖度は13度としっかりのっています。又自家製堆肥を始め有機肥料を主体とした育成方によりきめ細かい身質、豊かな気候風土の中で、大きく成長する高知の梨では早生系の特長でもあるやや小ぶりの果肉の気品高い梨に育てあげています。
日差しの強さは、樹に茂る葉々の奥にまで太陽の光を浸透させ、日照時間の長さは広い角度で木に光を注ぎ、光合成を促進します。高知ならではの、強い日差しと豊かな日照時間が育む南国の梨には、残暑厳しい季節にぴったりの特別な食味があります。 |